『アスカルビー』と『古都華』に続け
奈良のいちごと聞いて、皆さんの頭に思い浮かぶのはなんでしょうか。アスカルビーもしくは古都華というお答えが多いでしょうか。
アスカルビーは平成12年に品種登録されたいちごです。果汁が多く、さわやかな酸味が持ち味。奈良の風土を感じさせる名称も記憶に残りやすく、魅力的です。
古都華は平成23年に品種登録された品種です。食味が安定し、糖度も酸度も高く、濃厚な味わいという点で抜きんでていて、奈良県内での栽培面積を増やしてきました。
ご覧のように、平成に生まれた奈良のいちごを代表する2つの品種は、その誕生時期に10年ほどの開きがあります。そして令和はというと、 これがかなり異なる様相に。奈良県農業研究開発センター研究開発部育種課指導研究員の矢奥泰章さんにお話伺ってみたところ……
「令和元年の珠姫、令和2年の奈乃華に続いて、現在奈良11号の出願を予定しています」と矢奥さん。3年連続で奈良生まれ奈良育ちのいちごの新品種が市場に登場するかも知れないという状況ということですよね。怒涛の攻め!
気になる令和の奈良いちご3兄弟
珠姫 奈乃華とも、まだまだ店頭などで見かける機会は少なめですが、どちらもそれぞれにニーズがありそうな品種です。
珠姫は、とにかく大きい! その驚きをどう伝えれないいのか悩ましいのですが。例えば平均的ないちご大福だったら大福より中身のいちごがでかいということになるんではないか?というくらいですし、ショートケーキに乗っていたら「バランスおかしいな?」くらいにビッグです(伝われ!) 食感について矢奥さんは「柔らかいリンゴがお好きな方におススメと説明します」とおっしゃっていました。なるほど!
奈乃華は、くっきりと深みのある赤色で、高温期でも食味が安定しているという特長があります。これはうれしいですね! 果皮も果肉もしっかりとしているので果実が傷みにくく、流通に乗せやすい・飲食店などで使いやすいという利点も。全国に「奈良のおいしいいちご」として『奈乃華』が広まっていく可能性が感じられます。酸味と甘味のバランスがとれているところも、多くの人の味覚を満足させてくれそうです。
そして気になる奈良11号。仰天した点は大きく2つ。1つ目は見た目の良さ。ほぼ個体差なく、完璧といってよい円錐形をしているんです。絵に描いたような粒揃いの実が成っている様子は、ちょっと不思議なくらいの光景でした。2つ目は、圧倒的に際立つ香りです。試食させていただいたところ、食べ終わってもなお、しばらく口の中はいちごのフレーバー。現在奈良11号は「現地栽培試験の段階で栽培されている方は少ないですが、観光農園や直売所で好評価をいただいています」ということで、たしかに見て食べて驚けること請け合いのいちごですね!
そしてこの奈良11号、ただいま名前を募集中なんです。奈良生まれ奈良育ちのいちごのニューフェースの名付け親を目指してみませんか? 詳しくは奈良県のwebサイト内の農業水産振興課のこちらのページをご覧ください。締め切りは2021年4月9日(金)の正午とのことです!
全体的には作付面積が減っているという奈良のいちごですが、それぞれに個性を持っています。各々の特長が生かされて、よりおいしくいただく機会を、ぜひ増やして行きたいですね。
さて最後にクイズです。じゃじゃん! 下記の写真の5種類のいちご、どれがどのいちごでしょうか!?
(記事・砂川みほ子)
最終更新日:2021/03/30