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今月のおやつとうつわVol.4 御菓子司 あけぼ乃「水まんじゅう」、ACART LIFESTYLE「深山/miyama plue プレート 鉄くろ釉」

御菓子司 あけぼ乃「水まんじゅう」
ACART LIFESTYLE「深山/miyama plue プレート 鉄くろ釉」

家で過ごす時間がぐっと増えたこのご時世。いつも同じ場所リモートワークやリモート授業……飽き飽きしてしまった人も多いはず。この連載では、奈良で手に入るおやつと器をご紹介します。素敵な器においしいおやつをのせて、おうち時間をちょっぴり楽しくしてみませんか。


さて、今月の和菓子は「御菓子司 あけぼ乃」の「水まんじゅう」。半透明の葛に柔らかく透けるこし餡が涼を呼ぶ、美しいお菓子だ。

奈良盆地西部に位置する歴史の街、御所市に店を構える「あけぼ乃」は、明治18年創業の老舗和菓子店。御所市の人々は、昔から毎年6月に行われる大神宮という伝統の祭りで、水まんじゅうと鯖ずしを食べて無病息災を願ってきた。かつては祭りの日だけの販売だったが、今ではその人気ぶりから、夏の期間、店頭に並ぶようになった。吉野葛、水、こし餡だけという極めてシンプルなお菓子で、材料も作り方も開業当初から変わらない。「水まんじゅう」をうたう商品はたくさんあるが、ここまで潔いものは最近ではなかなかないという。余計なものをそぎ落とした中には、こだわりがたくさん詰まっている。葛は「森野吉野葛本舗」の「みゆき本葛」を使用。純粋な葛は独特の風味があり、舌の上ですうっと溶ける。葛に火を入れ、柔らかすぎず硬すぎない絶妙な食感に捏ね上げるのは、まさに熟練の技だ。すっきりとさわやかなのに後を引く、不思議な味わいは食べてみなければわからない。靄がかかったように半透明なのは、葛だけで作られている証拠。保存料が入っていないので、賞味期限は一日限り。また、冷蔵庫での長時間保存も禁物。水を張った桶に袋ごとつけておき、食べる30分ほど前にさっと冷蔵庫で冷やすのがおいしい食べ方。冷やす様子まで涼しげで夏らしい。

水まんじゅう 6本入り(720円)/販売期間は、5月の連休~9月10日頃まで。
笹の葉の香りとともに。中にはこし餡がたっぷり。

今回選んだ器は、「ACART LIFESTYLE」で販売されている「深山/miyama plue プレート 鉄くろ釉」。明るい日光の下でも電灯の下でも、夜の湖のように静かな艶めきをみせるこのお皿は「あけぼ乃」の水まんじゅうにぴったり。岐阜県で製造される美濃焼で、有田焼などのほかの陶磁器に比べると、お手頃で日常づかいに好まれている。高温で焼かれた磁器であるため、吸水性がなく硬い。食洗機で洗っても自然乾燥をしても全く問題ないので、気兼ねなく使える。つるりと汚れが落ち、布巾で拭うより早く水気が飛んでいくので驚き。店主の片岸清人さんはこのお皿にコンビニスイーツを載せることもあるという。茶色とも黒ともいえないこの色合いがどんなものも美味しく見せてくれる。アンティーク品のようなクラシカルなデザインと錆びたような風合いが美しく、無駄のないスタイルと緊張感のある薄さが、モダンでスタイリッシュ。古い器独特の味わいと現代風のストイックな雰囲気を併せ持った素敵な器だ。

深山/miyama plue プレート 15cm 鉄くろ釉 1,320円

毎日使っていれば、どうしても傷や欠けができてしまう陶磁器。どうせ傷ついてしまうなら、と諦めてプラスチックの器を買おうとしている方はちょっと待ってほしい。丈夫な「miyama深山」の器なら、日々の相棒として、きっと長く楽しく付き合えるはず。

(記事・岡田菜友子)

御菓子司 あけぼ乃
住所:奈良県御所市大広町328
電話:0745-62-2071
営業時間:7:30~19:30
定休日:1月1日、2日
駐車場:有 
http://www.akebono-nara.com/campany/index.html


ACART LIFESTYLE(アカート ライフスタイル)
住所:奈良県奈良市鶴福院町25
電話:0742-25-3123
営業時間:11:00~19:00
定休日:月(祝日の場合は翌火曜日)
駐車場:無
https://www.acartlifestyle.com/

最終更新日:2021/08/25

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