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今月のおやつとうつわVol.6 虎屋菓舗「月餅」、うつわとざっか 器人器人「正方形皿」

虎屋菓舗「月餅」
うつわとざっか 器人器人「正方形皿」

家で過ごす時間がぐっと増えたこのご時世。いつも同じ場所リモートワークやリモート授業……飽き飽きしてしまった人も多いはず。この連載では、奈良で手に入るおやつと器をご紹介します。素敵な器においしいおやつをのせて、おうち時間をちょっぴり楽しくしてみませんか。


日が落ちるのが早くなり、秋の訪れを感じる今日この頃。中秋の名月は過ぎてしまったが、澄んだ夜空にぽっかり浮かぶ明るい月はやはりほかの季節とは違う趣がある。今回は、そんな秋の月を思わせるお菓子、「虎屋菓舗」の月餅をご紹介。

御所市の古き良き街並みの一角に佇む和菓子店「虎屋菓舗」。その店主である中邨克己さんが、中華料理の経験を活かして考案したオリジナルの月餅はお店の看板商品の一つ。いかにも中華らしい意匠が美しく、中にぎっしり詰まった餡は滑らかで絶品。とろけるような食感の秘密は、ラード。餡だけでなく胡桃・松の実・白ゴマ・レーズンがたっぷり入っているので、プチッ、カリッと食感も楽しい。食べごたえ十分で、一つ食べれば大満足なのだが、あのしっとりした餡とカリカリのナッツが癖になり、すぐにまた食べたくなる。三つ買っておいて正解だった。

月餅 (1つ200円)
ナッツと餡がぎっしり。表面の刻印も美しい。

その月餅を先日と友人とのお月見に持っていった。河原にレジャーシートを敷いて、各自好きなものを持ち寄るというものだったが、いざ食べようと思ったら紙皿もフォークも忘れてきたことに気づいた。ちょっと迷ったがそのままパクっと豪快にかぶりついた。散々おしゃべりした後の甘いものは体にしみる。もぐもぐと咀嚼しながら月を見上げ、虫の声に耳を澄ませる。思わず「あ~、私、幸せだなあ」と声が漏れた。


お月見ではずいぶん豪快な食べ方をしてしまったが、2つ目は仕切りなおしてきちんとお皿にのせていただいた。今回この月餅のために選んだのは、きたまちの雑貨店「うつわとざっか 器人器人」で販売されている、陶芸家・五條悠斗さんの作品「正方形皿」。かすかにグレーがかった白地に、鉄の縁取りという組み合わせがスタイリッシュなのにどこかぬくもりがある。お菓子を載せると、この配色がキャンバスと額縁のようにみえ、まるで小さな絵画。電子レンジにも対応しており、水止め処理の必要もないので、買ったそばからがんがん使える。五條さんは、「作品を気軽に使ってほしい」という思いから、美しく使いやすい器をリーズナブルな価格で提供している。その使い勝手のよさから、朝、食器棚から出したらそのまま昼、夜と三食同じ器を使ってしまうというお客さんもいるほど。すっきりとした無駄のないデザインは、和・洋・中どんな料理にも合う。今回の月餅も、しっくりなじみ、中華っぽさがほどよく和らいで、どことなく無国籍な雰囲気が漂う。ほんの少し深さがあるおかげで、汁気のあるおかずを入れても安心。切ったトマトやフルーツなどカラフルな食材を載せてもよし、シンプルな目玉焼きを載せてもよし、使い道がいっぱいでわくわくする。

正方形皿 直径13.5㎝、深さ約5㎜(1,980円)

芸術の秋、食欲の秋。せっかくなのでこの小さなキャンバスを食器棚の新しいメンバーにしてみよう。何を描くか迷ったら、夜は月を、朝はお日様を描くつもりで、月餅と目玉焼きを載せてみてはいかがだろうか。食とアート、どちらも楽しめて一石二鳥。

(記事・岡田菜友子)

和生菓子処 虎屋菓舗(とらやかほ) 
住所:奈良県御所市本町1312-4
電話:0745-63-0248 (夜間)0745-63-0560
営業時間:8:00~19:00
定休日:月(祝日の場合は営業)
駐車場:有 
https://www.toraya-gose.com/shop


うつわとざっか 器人器人(きときと)
住所:奈良県奈良市東包永町61-2
電話:0742-26-8102
営業時間:11:00〜18:00
定休日:木
駐車場:有
http://kitokito26-online.stores.jp/

最終更新日:2021/10/03

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