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【連載】わたしの奈良暦「2021年 神無月/せめぎあう移ろい」しかC

春日大社境内の中でもひときわ広大で見渡しの良い芝生の原「飛火野」は、これからまさに秋の完成へと向けてナンキンハゼが順番に色づき始めます。まだ全てが色づく前の、緑色の葉とすでに赤く色づいた葉がせめぎあう様子を毎年心踊らせながら見守っています。

しかしながら奈良公園一体では生態系や景観保護などの観点からナンキンハゼの伐採が進められており、この景色もいずれは見られなくなる可能性があります。

春日野の長い歴史の中で考えると仕方のない事なのかもしれませんが、自分にとっては慣れ親しんだナンキンハゼの景観が徐々に姿を消していく事にどうしても寂しさを感じてしまいます。

葉が色づき季節が移ろうように、当たり前のごとく存在し時が止まったかのように思われていたものも、とどまること無く姿を変え続けていくのが世の常なのかもしれません。

撮影/執筆者紹介

連載「わたしの奈良暦」
今月の撮影者/しかC

編集部から

大阪府出身のしかCさん。「 10年ほど前から奈良のいろんな場所の写真を撮っていたのですが、奈良公園の鹿の魅力に気づきだしてからは、もう風景の中に鹿がいないと撮る気にならない程になってしまいました。毎日好きな時に鹿を撮りたくて」と、2018年奈良に移住されたそうです。数年前、Twitterで拝見した”浮遊鹿”の写真など、一目見て「あ、しかCさん!」となる色合いの写真を3か月間お届けします。ちなみに、ならまちの雑貨店カウリさんでは、しかCさんの写真集『奈良公園 しかかお図鑑』を店頭販売中(在庫僅少のようです)とのこと。鹿の顔のバリエーションにびっくりできる1冊ですよ!

最終更新日:2021/10/28

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