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今月のおやつとうつわVol.8 panc BAKERY 「栗のチーズケーキ」、tete a tete「JOLIE」6寸皿

panc BAKERY 「栗のチーズケーキ」
tete a tete「JOLIE」6寸皿」

家で過ごす時間がぐっと増えたこのご時世。いつも同じ場所リモートワークやリモート授業……飽き飽きしてしまった人も多いはず。この連載では、奈良で手に入るおやつと器をご紹介します。素敵な器においしいおやつをのせて、おうち時間をちょっぴり楽しくしてみませんか。


ここ数日で一気に気温が下がり、冬が足早に迫るのを感じる。ブランケットを出したり、分厚い靴下を下ろしたり、寒さに備えてあれこれ準備するのは結構好きだ。冷え込みが日に日に増していくこの季節、温かい家の中にこもって、好きな本や映画を満喫するのが楽しみになってくる。今回は、そんなぬくぬくタイムのおともにうってつけのお菓子をご紹介。

奈良女子大学のすぐ裏にある小さなかわいいベーカリー「panc BAKERY」の「栗のチーズケーキ」はこの季節だけのとっておきスイーツ。ハード系のパンやクロワッサンが美味しい店だが、実はチーズケーキも絶品。ケーキ屋さんに売っているものほど大きくなく、食べやすいサイズ。小ぶりでも重みとコクがあるので、一つをゆっくりじっくり味わいたい。特に気をつけているという表面の焼き色は、艶やかで均一なきつね色。栗の香りがふんわり漂うなめらかな生地の中央に大きなマロングラッセが入っている。モンブランと似ているのかと思いきや、全く違う。むしろこちらの方がよほど秋らしいかもしれない。重めのケーキだが、甘さは控えめ。口の中でゆっくり溶けて、じんわりと栗本来の甘みが広がる。微かに塩味が利いているのでくどくない。下の方は時間が経っても美味しいサブレ生地。フォークを刺すと、ざくっと音がするが、しばらくたつとしっとり柔らかくなる。これがまたおいしい。この食感とバターの風味が味わいに奥行きを持たせている。モンブランのような華やかさはないかもしれないが、丁寧に作られた大人のチーズケーキはこれからの季節にぴったり。

大きな栗を丸ごと贅沢に使った「栗のチーズケーキ」。
 販売期間は12月まで (350円)
美しいきつね色の表面。フォークを刺すのがもったいない。

淡いベージュが映えるような器がないか探していたところ、想像通りのものが見つかった。
香芝市にあるセレクトショップ「tete a tete」で販売されている「JOLIE」の6寸皿。キュートでかわいらしい小物というよりも、ちょっと武骨でかっこいい雑貨が所狭しと並んでいる店内で、お気に入りの一品を見つけるのは宝さがしみたい。厚手で、こっくりした深い色合いが秋らしい器を発掘。男前な色と質感に対し、しなやかな曲線を描く縁が魅力的。この形の皿は、最近よくあるデザインのようだが、このような深い青色はなかなか見かけない。店主の岩出桂子さんもこの色に惹かれたのだそう。青といえば、食欲を減退させる色というイメージがあるけれど「青」というより「濃紺」や「瑠璃」に近い色。そこに料理を盛ると、途端に美味しそうに見えるから不思議。今回はベージュに瑠璃色というコントラストの強い組み合わせだが、どっしりと重く深い青色がシンプルなケーキを引き立たせる。大きめなので、サラダやパンを乗せてワンプレートのモーニングセットにも合いそう。寒くて起きるのが億劫な朝も楽しみになる。

JOLIE 6寸皿 ルリ(2,500円)
鉄色の縁取りがアクセント

「panc BAKERY」は、私にとって思い出のパン屋さんだ。大学の入学試験の後、母が「素敵なパン屋さんがあった」と買ってきてくれた。瑠璃色の器に淡い色のケーキを載せるのも、実は母のアイデアから。一日の授業を終えて、窓辺にテーブルを引っ張ってきて温かいコーヒーとケーキを味わう。ぬくぬくして楽しいが、実家のことを思い出してほんの少し寂しくなる。そんな秋の夕暮れも、たまにはいいかもしれない。

(記事・岡田菜友子)

panc BAKERY(パンク ベーカリー)  
住所:奈良県奈良市北小路町4-13
電話:0742-37-7123
営業時間:10:00〜16:00 ※なくなり次第終了
定休日:月・火・水
駐車場:無 
https://www.facebook.com/pancbakery/


tete a tete(テタテト)
住所:奈良県香芝市旭ヶ丘3丁目3-3 2F
電話:0745-76-7990
営業時間:10:00〜17:00
定休日:日・年末年始
駐車場:3台
http://www.teteatete-zakka.com/shop/

最終更新日:2021/10/31

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