個性的なお店やギャラリーが9店集合する「ならまち工房Ⅱ」。通りがかっただけではちょっとわかりにくいかもしれないが、実は2階にも面白いお店がいろいろ入っている。元ファッションデザイナーの片岡泉さんが営む「心花＊KoKoHaNa」は、ならまち工房Ⅱの2階にひっそりとたたずむ小さな花屋さん。事情があってこれまで打ち込んできたファッションの仕事を続けることが難しくなってしまったが、それでも何か自分の世界を持ちたくて模索していたそう。そんなときに出会ったのが、フラワーアレンジメントだった。

100％人の手で作るファッションデザインと自然を相手にするフラワーアレンジメント。素人からすると全く違う職種に思えるが、「何も無いところから、全てを自分で考えて、自分の手で作り出す」という共通点があるという。自分を無にして、花たちと対話しつつ、その場で瞬時に判断して作り上げていく。自然物を扱うので、予期しないこともあるが、それもまた面白いところ。フラワーアレンジメントの注文に対して大切にしているのは、お客様の漠然としたイメージをいかに読み解き、具体的に形にするか、ということ。そして、お客様の予想を上回る仕上がりにすることも常に心掛けているそう。花一本一本の個性を生かし、より美しい組み合わせを生み出していくには、雑念や固定観念は捨てるのがコツなのだとか。店に並ぶ花たちは、どれもいきいきとしていて部屋に飾ると元気が出そう。

地域の方々から安心しておまかせいただける店にしていきたいと語る片岡さん。大きな花屋もいいけれど、緊張したり、気後れしたりと落ち着いて花を選べないことも少なくない。楽しく談笑しながらゆっくりお花を選べるのは小さなお店ならではの魅力だ。大切な人に、自分へのプレゼントに、特別なアレンジをお願いしに行こう。

（記事・岡田菜友子、撮影・徳永祐巳子）

最終更新日：2022/01/19

ツイートする シェアする コピー