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今月のおやつとうつわVol.13 ふうのおはぎ おはぎいろいろ、山笑う雑貨店「ニーム皿」

ふうのおはぎ おはぎいろいろ
山笑う雑貨店 「ニーム皿」

仕事に学校、家事…毎日やることいっぱいで忙しいですよね。あわただしい日々を過ごしていると、ついつい自分のことをおろそかにしがち。たまには、おいしいお菓子で自分を甘やかしてみませんか。この連載では、奈良で手に入る素敵なおやつと器をご紹介します。お気に入りのおやつセットを用意して、ちょっと一息つきましょう。


寒い日が続く今日この頃。窓の外は一面冬景色で何とも寂しい。春が来るのはまだまだ先だけれど、せめて家の中では色鮮やかなものを楽しみたい。そう思って今回セレクトしたのは、宝石のようにカラフルで、気分も上がりそうなお菓子。春の風景を想像しながら、ゆっくりいただこう。

今回のお菓子は、おはぎ専門店「ふうのおはぎ」で販売されている色とりどりのおはぎたち。おはぎの渋いイメージが吹っ飛んでしまうほどのかわいらしいビジュアルに、目が釘付けになった。レギュラーメンバーの4種類に加えて、季節のおはぎも並ぶ。限定おはぎにもひかれるが、今回ご紹介するのはレギュラーの4種類。なかでも、大和茶の抹茶を使った「空海の一粒」は、おはぎどころか抹茶スイーツの概念を壊すお菓子。口に入れると、みずみずしいお茶の香りが広がる。濃厚なのに、抹茶特有の渋みや癖がなく、もう一つ食べたくなってしまう。

以前は、茶筅で有名な生駒市で抹茶専門のカフェを営んでいた店主の川口登志子さん。お茶や和菓子を気軽に味わってもらおうと現在の店を始めた。固定概念に縛られず、カジュアルに楽しめるよう、味やデザインに工夫が凝らされている。もち米や小豆といった奈良県産の食材や季節の果物、それらの風味が引き立つように砂糖は控えめ。手作業で細かくつかれたもち米は、しっとりとした餡によく絡む。一口サイズなので、数種類並べて食べ比べをしても楽しい。気張らずに、プチケーキのような感覚で味わってみよう。

「空海の一粒」(280円)
「まめつき」(250円)香ばしいきなこの風味が口いっぱいに広がる
「赤い果実」(300円)フランボワーズの甘酸っぱさが癖になる
「赤いダイヤ」(250円)宇陀大納言あずきの餡がたっぷり
プレゼント用の箱も心ときめくデザイン(3個入り 200円)

しっとり優しい「ふうのおはぎ」のイメージにぴったりの木皿を発見。ならまちにある「山笑う雑貨店」で販売されているインド製のお皿。「ニーム」という薬効の高い木で作られている。一見シンプルな木皿だが、裏返すときれいな削り模様がほどこしてある。店主であり、雑貨作家でもある岡田ふみさんは、この裏の模様にときめいて店に並べたそう。のせる食材を立てつつ、個性的な面も持ち合わせたデザインが素敵。大きめのお皿だけれど、軽くて使い勝手が良く、パンやサラダにも合いそう。この木皿は、京都の会社「シサム工房」がフェアトレードで取り扱っており、生産者はコルカタから車で3時間ほど下った山奥の村の人々。ここまで来るのにずいぶん長い旅だっただろうなあ、と感慨深い。「作る人を応援する」がコンセプトとの店内には、フェアトレード商品のほか、一点もののアクセサリーや奈良の福祉施設で作られた雑貨など、作り手を感じられるものがたくさん。「山笑う」の店名の通り、見ているだけでも楽しく、どこか温かい気持ちになれる空間だ。

ニーム皿(1760円)
裏面には独特の模様が施されている

おやつとうつわ、どちらかが引き立て役になっているのではなく、どちらにも個性があり、両方がお互いをうまく引き立てあっている。ものづくりに対して自分なりの想いをもって向き合っているお店の商品だからこそなせるのだろう。見た目や機能が優れているだけでなく、作り手やそれにかかわる人々の想いを感じられるものを選んでいこう、と新たに認識させられた。春はもうすこし先だが、お皿の上に花を咲かせて、ものづくりへの想いを馳せる時間を過ごしてみてはいかがだろうか。

(記事・撮影/岡田菜友子)

ふうのおはぎ
住所:奈良県奈良市小西町1-7
電話:なし
営業時間:10:00~18:00
定休日:不定休
駐車場:無

山笑う雑貨店
住所:奈良県奈良市鵲町13
電話:0742-31-2839
営業時間:12:00~17:00
定休日:冬季は不定休(通常は木・日・祝)
駐車場:無

最終更新日:2022/02/21

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