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川西町をみんなで楽しむDAYイベントレポート-その2- 歩けば町が好きになる!川西町クイズロゲイニング

2022年11月26日(土)。結崎駅前広場は、「スタート!」の声を待つロゲイニング参加者の緊張感に包まれました。参加者は、地元川西町をはじめ、香芝市や生駒市などの奈良県内、大阪市、東大阪市、門真市などから今日の日を楽しみに集まった方々。ご夫婦、お子さん連れ、会社の同僚同士、ご自身のみでの参加など、パートナーもさまざまです。2時間という制限時間のなかで、どんな想いや出会いがあったのか。
川西町の魅力を知るイベント、「歩いて知る かわにしクイズロゲイニングday」の様子をライターななみりよがレポートします。

ロゲイニングの魅力は戦略性と町探検

ロゲイニングとは、制限時間内にチェックポイントをどれだけ巡れるか、その合計ポイントを競い合う競技です。まずは受付をして、チェックポイントの記載された地図を受け取ります。みなさん、「川西町ってじっくり歩いたことなかったけど」と言いながら、渡された地図を見ながらルート戦略を練り、開始の合図を待ちます。

開始前にお話を聞くと、『ロゲイニング』をキーワードにイベントを見つけた方が多くいらしたので、ロゲイニングの魅力を伺ってみました。

「ロゲイニングの魅力は、地図読みのスキル、ルート取りの戦略性です。走力だけで勝敗が決まらず、いかにチェックポイントを通って得点するかが醍醐味です」(H.Rさん)

「オリエンテーリングはルートが決まっているので単純な速さ勝負になります。その点、ロゲイニングは、年齢を重ねていても、走るのが多少遅くても、表彰台が狙える楽しみがあるんですよ」(N.Kさん)

「普段はゆっくり歩く機会がない場所を歩くのが楽しいんです」(N.Rさん)

なるほど。みなさんの開始を待ちわびるワクワク感に、筆者も胸が高まりました。

9時半からルール説明を受け、そして10時。カウントダウンとともに、一斉にチェックポイントを目指します。さぁ、存分に川西町を駆け回りましょう。

旧さと新しさのミックスが心地よい川西町

ルート取りが大切か……確かに効率よく回ることが重要ですよね。私はチェックポイントがかたまっている、川西町小学校方面から行くことにします。

チェックポイントに到着すると、まず写真撮影。それが行った証拠になります。さらにクイズがあるチェックポイントでは、それに正解すると1ポイントプラスされます。

主催者である一般社団法人com(コム)の徳永さんによると、「クイズは、パッとすぐに答えられるもの、わからなくても周辺の看板や表示などをよく読めば答えが見つかるもの、少し時間をかけて調べたり考えたりすることが必要なものという感じで考えました。難易度づけが苦心点ですね」とのこと。確かに周辺の看板を読むことで、クイズの正解を見つけるとともに、川西町をよりよく知ることができました。

チェックポイントは、『油かけ地蔵』や『面塚』、『島の山古墳』や『比売久波神社』、『糸井神社』など、川西町の名所や神社。歩いて回るだけで、観光気分です。面塚の紅葉はとてもきれいでした。

そのほか、文化会館や小学校に保育園、町の産業である美しい貝ボタンを大正3年(1914年)から作り続ける株式会社トモイさんなどもチェックポイントになっていました。

徳永さんに伺うと、「参加者の方には『観光の町』と『暮らす町』の2つの側面での川西町を見ていただきたかったのです。そこで、名所のほか、生活の場である川西こども園や幼稚園、小学校、スーパー、唐院運動公園などもチェックポイントに入れました」。 ルート作成にも川西町への想いと工夫を感じました。

思い思いの順序とスピードで、各チェックポイントを目指します。

普段は歩かないような路地も、「ロゲイニングだ」と思えば勇気を持って進めます。実際にチェックポイントを巡ってみると、川西町は狭いようで広かったです。そして、旧き良き里山の風情と新しいきれいな町がうまくミックスされた町だと感じました。

私のお気に入りチェックポイントは、『コミュニティスペースハッピー』さんでした。なんというか、ほっこり和む雰囲気なのです。ソファにカラダを預けたりハンモックに揺られたりしながら島の山古墳を眺められる窓からの景色も素敵。11月5日・6日のイベントで作られた町のジオラマもかわいらしい。『場を生むデザイン賞』の奨励賞も受賞しています。あまりのくつろぎ空間に、危うく時間制限を忘れて長居してしまうところでした。

チェックポイントへの分岐点に立つこんな標識を見てしまうと……「やっぱりこっちが効率いいかも?」と、初心を忘れて、最初に考えたのと違うルートを取りたくなることもありました。走って走ってふと気づくと、道の反対側は河合町。町の境まで来ていたのです。地図を読むのが下手くそで、カンに頼って動きがちなのは、ロゲイニングには致命傷……。(私です。小声)

近道を探して住宅街を走っていると(迷っているともいう)、なにやらかわいい場所を発見。公園かな?と思ったら、明治5年創業の一級建築士事務所『木庄』さんでした。こんなに長い歴史のある会社があったのですね。チェックポイントにはない素敵な場所を見つけると、なんだか得した気分にもなりました。

同じ地図を持っていてもルートの取り方はさまざまなので、参加者同士が反対方向に進むことも。ほかの参加者の方を見ると、思わずついて行きたくなってしまいます。

みなさん、体力に応じて歩いたり走ったり、地図アプリを上手に活用されたりしていました。

道中を楽しまれている様子がとても素敵でした。

ゴールしてからもドキドキの得点源が!

さて、制限時間間近になると、みなさん続々とゴール。

今回のロゲイニングは、チェックポイントの得点のほか、『クイズ』や、町おこし企画を考える『クリエイティブ』、『ゆるかわスポーツ』に『ジャンケン』など多彩な得点方法が工夫されていました。

全路を走って回る方にも、ファミリーや、ゆっくり散策することが目的の方にも楽しんでいただくために、速さ以外にも得点できる方法を考えたのだそうです。

川西町オリジナルのゆるかわスポーツは、2年前のワークショップから生まれました。こちらは島の山古墳に向かって埴輪を投げる『シマッチャ』。一番上の白い部分に乗せるのはなかなかの難易度です。

川西町名産の葉ネギの一種『結崎ネブカ』を模した棒を投げてピンを倒す『ネブック』。コントロールと破壊力が試されます。

得点を賭けて行う川西町役場職員の方とのジャンケンは、ギャンブル要素まであってスリル満点でした。持ち点のうち何点でも賭けられ、勝ったら賭け分が2倍、負けたら得点没収です。

全部賭けをされた方は3チームありました。1チームは勝たれてダブルアップ、2チームは負けてゼロ点というまさに天国と地獄で、ゴール地点でも白熱していました。

たくさん歩いたあとはおいしいものも

12時頃のゴールで、ちょうどお腹がすいた参加者のために、キッチンカーも用意されていました。来てくれたのは、明日香村のイタリアン、ポカフレールさん。『いのししのミートソーススパゲティ』や『あすかルビーのいちごみるく』など、お腹が満たされ疲れも癒されるメニューでした。疲れたカラダにおいしさが沁みわたります。

受賞してもしなくても、歩き方も楽しみ方もそれぞれ

最後は表彰式です。

優勝者のEast Fieldさんは、徒歩3時間想定の全ポイントを巡るルートを、たった1時間7分でゴールしたという驚異の速さでした。ゴール後にクイズやアイディアを考える時間を入れても1時間33分という記録。ルートを伺うと、「川西小学校を皮切りに、川西文化会館や面塚などを通って時計回りに進みました。同じところを通るのは無駄なので、できるだけ一筆書きができるルートを選びました」とのこと。ジャンケンにも勝たれて、ダントツの1位でした。

2位のサムライブルーさんは、「最初に油掛け地蔵や杵築神社など一番遠いポイントを目指して、最期に島の山古墳やコミュニティスペースハッピーなど、ポイントが密集しているところを周りました。疲れてきた頃にたくさんのポイントがあるほうが励みになるでしょ」とおっしゃっていました。開始前に伺った通り、ルート取りにも個性がでますね。

3位のままさんは、「ロゲイニングに参加すると、町のいろいろなことがわかるから楽しいんですよね」とおっしゃっていました。

ファミリーでご参加いただいたIさんご一家は、「いつも電車で通るたびに古墳を見ていました。面塚の紅葉がきれいでしたね。離れていたチェックポイントも行ってみたかったです」とママさん。パパさんも「古墳近くの町並みがかわいかったですね」とニコニコ。お子さんも「疲れたけど楽しかった」と嬉しそうでした。

ベビーカーを押しながら健脚ぶりを発揮されていたH.Aさんは、「川西町には結婚して移り住んだので、ご近所でもゆっくり歩いたことがありませんでした。比売久神社など、行ったことのない場所も知れて良かったです」とのご感想でした。

私も、いい汗をかかせてもらいました。川西町がぐっと身近になった感じです。「いい町、ちかい町」川西町。機会を見つけて、ぜひ訪れてみてくださいね。

後援/一般財団法人地域活性センター、川西町、コミュニティスペース「ハッピー」
主催/一般社団法人com
協力/川西町商工会、スーパーおくやま、浅井農園、関係自治会のみなさま

取材・文/ななみりよ(一部撮影)
撮影/北尾篤司

最終更新日:2022/12/19

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