奈良県観光局では地域の課題解決と持続可能な発展をめざし、「奈良の観光地域づくり」について取り組んでいます。奈良県庁の思いや、地域のキーパーソンのインタビューを掲載していきます。
※本記事は月刊奈良2024年12月号で掲載した記事と同じ内容です。
あすか燻製工房は、2018年に開業した燻製工房で、明日香村の岡寺に続く参道沿いに位置しています。村の豊かな自然に囲まれたこの場所は、観光客がふらりと立ち寄りやすく、地元の素材を活かしたウインナーやベーコン、ハムなどの燻製製品を丁寧に手作りしています。当工房は、奈良のきたまちにある「さくらバーガー」の直営工房として、明日香村内の道の駅や奈良市内の観光施設にも製品を卸しており、地元特産品としての認知も広がっています。また、ふるさと納税の返礼品としても登録しているため、遠方の方にも燻製を楽しんでいただける機会が増えています。
製品の製造・販売にとどまらず、「手作りソーセージ体験教室」も人気です。1セットで豚ミンチから約15本のソーセージを作ることができ、親子連れや友人、カップル同士でわいわいと楽しく手作り体験を楽しむ様子が見られます。燻製が完成するまでの2時間、村内の観光地巡りもおすすめしており、明日香村の魅力をより身近に感じていただけるよう工夫しています。
この工房自体も、もともとは空き家だった古民家をリノベーションして再生したものです。明日香村は「明日香法」という遺跡保護の法律によって開発が制約されているため、空き家の増加とその活用が大きな課題となっています。そこで村が空き家の所有者と借り手の間に立ち、双方を調整する制度を活用し、工房を立ち上げました。この明日香村の空き家再生モデルは全国的にも注目され、他の地域から視察に訪れる方も多いです。
あすか燻製工房では、今後も明日香村の魅力を発信しながら、燻製づくりと体験を通じて地域に根ざした活動を続けていきたいと考えています。また、明日香村内での新たな事業展開も視野に入れ、村の魅力をより多くの人に届けられるよう取り組んでいきたいと思っています。
飛鳥燻製工房 オーナー 山戸旬人さん Profile
幼少のころから慣れ親しんだ明日香村に2018年7月開業。無添加、低添加の優しい燻製製品を手作りしています。
最終更新日:2025/03/12