奈良、旅もくらしも

奈良の観光づくりキーパーソンINTERVIW ホテル奈良さくらいの郷 松本順子さん


 「さくらいの郷」は2022年にオープンし、おかげさまで多くのお客様にご利用いただいています。当館は桜井駅から少し距離があるので、どうしてもアクセス面で不便を感じられるお客様も多いのですが、その分、訪れた際の景色や周辺の歴史をじっくりと楽しめます。最近では電動自転車のシェアサイクルも設置したので、より気軽に周辺を巡っていただけるようになりそうです。

 ホテルから少し距離がありますが、近くにある「山の辺の道」も人気です。歩いていると地元の方が声をかけてくださることも多く、その温かさが、ここを訪れる旅の醍醐味でもあります。

 また、以前私が女将をしていた旅館があった吉野山も、観光地としてはとても魅力的で大好きな場所です。春には桜が一面に咲き誇り、秋には紅葉が山々を彩ります。桜の時期は特に多くの方が訪れますが、シーズン以外は少し静かになってしまうのが現状です。それでも、吉野を愛してくださる方は多く、桜や紅葉に限らず、吉野山そのものの魅力を求めて来られる方がいらっしゃいます。そういう方たちも大切にしつつ、オフシーズンのお客様をどのように増やすかも課題だと感じています。

 私は「おもてなし」の心を大切にしています。実際、コロナ禍以降、効率化や合理化が進む中で、サービスが少しドライになりがちかもしれません。海外からの観光客の方も、「以前と比べて日本の伝統的なおもてなしが感じられなくなった」という声をいただくことがあり、それを聞くたびに、本来の“ 心を込めたおもてなし” の在り方を再認識させられます。スタッフには、ただのサービス提供ではなく、お客様の「ワクワク」と「ドキドキ」を引き出すことが大切であると伝えています。地域の方々とのさりげない会話や、旅の思い出にふさわしい風景を案内することで、お客様にとって特別な旅の時間をお届けしたいのです。私は「さくらいの郷」でも、この山の辺の道エリアと吉野山、奈良全体の魅力を一層伝えていけるよう、また訪れていただける皆様に“ ワクワクする旅” を提供できるようなおもてなしを目指しています。


ホテル奈良さくらいの郷 支配人 松本順子さん Profile

1981年生まれ。吉野山の老舗「旅館歌藤」女将を務め、インバンド観光を積極的に取り組んだ。現在は「ホテル奈良さくらいの郷」の支配人として活躍中。

最終更新日:2025/03/12

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