奈良県観光局では地域の課題解決と持続可能な発展をめざし、「奈良の観光地域づくり」について取り組んでいます。奈良県庁の思いや、地域のキーパーソンのインタビューを掲載していきます。
※本記事は月刊奈良2025年2月号で掲載した記事と同じ内容です。
私はフランス出身で、日本には大学院で学ぶために10年以上前に来日しました。日本での生活を通じてこの国に魅了され、ここで働きたいと考えるようになりました。アルプス山脈に囲まれた自然豊かな環境で育ったこともあり、林業への関心を抱くようになりました。そして、奈良県十津川村との出会いが、その関心を具体的な行動へと変えるきっかけとなりました。当時、村では林業を改善する新しいシステムの導入を進めており、その取り組みに魅力を感じ、「地域おこし協力隊」として参加しました。
この場所はもともと公園として整備されており、駐車場や水道といった基本的なインフラが整っていました。この環境を活かし、ヨーロッパで学んだツリーハウスや森林アスレチックのアイデアを取り入れることで、自然と調和した施設を作りたいと考えました。日本ではまだ珍しい、自然と一体化した体験型の施設を目指し、地元の素材を活用しながら、森の特性に合わせて設計を進めました。
「空中の村」は、子どもも大人も楽しめる場所です。森の中には、お弁当を広げて食事ができるエリアや、木の上に設置された読書スペース、トランポリンのように遊べる鳥籠型ネットなど、多様な楽しみが詰まっています。訪れる人の多くは20〜30代のカップルや家族連れで、都会の喧騒を離れて自然の中で過ごす特別な時間を求めています。
現在は年間約5000人の来場者があります。次の目標は年間8000人以上を目指しています。来場者が週末や大型連休に集中しやすく、平日の集客が難しい点が課題となっています。
今後は「空中の村」を基盤としつつ、他地域でも同様の施設を展開することを考えています。また、自治体や企業から、観光面やインバウンド誘客、森林管理と活用についてなど、アドバイザーとして声をかけられることも増えています。日本の森林資源の可能性をさらに広げたいと思っています。
空中の村 ジョラン・ジェフリさんProfile
1992年、フランス生まれ。アフリカや北欧への留学を経て、2014年に来日。関西学院大学大学院で経営学を学ぶ。卒業後、十津川村の地域おこし協力隊として3年間活動し、2020年4月にレジャー施設「空中の村」を開園。
最終更新日:2025/03/14