奈良県観光局では地域の課題解決と持続可能な発展をめざし、「奈良の観光地域づくり」について取り組んでいます。奈良県庁の思いや、地域のキーパーソンのインタビューを掲載していきます。
※本記事は月刊奈良2025年3月号で掲載した記事と同じ内容です。
私は生まれも育ちも明日香村ですが、一度東京で働いた後、家族とともに地元へ戻りました。もともと観光に興味があり、2018年、空き家バンクで現在の物件と出会い、一棟貸しの宿として運営することを決意。しかし、開業には多くのハードルがありました。いろんな手続きに苦労しながら紆余曲折の末、2023年11月、ようやく宿をオープン。5年で開業となりました。改装にはこだわり、宿泊者が快適に過ごせるよう丁寧に整えました。特に海外からの旅行者には、静かな環境と日本らしい風景が好評です。
宿の運営と並行して、明日香村の観光プロガイドの活動もしています。私は村のプロガイド一期生として飛鳥の歴史や文化を伝える役割を担っています。明日香村は遺跡が多く、ただ眺めるだけではその価値が伝わりにくい場所です。そこで、ガイドとしての説明が不可欠になります。私自身、旅行好きで、旅を楽しむ側の気持ちがよくわかるので、お客様に寄り添った案内を心がけています。
今後は、体験型観光の要素も取り入れていきたいと考えています。例えば、宿の近くにある田んぼを活用し、自然栽培の米作りを始める予定です。宿をやっているので宿泊者と一緒に田植えや収穫をするなど、特別な体験を提供していきたいです。
さらに、新たな試みとして、明日香村で養殖されていたアマゴの事業を引き継ぐことになりました。これまで一部のレストランでしか提供されていなかったアマゴを、宿泊者向けの食事や特産品として広めることで、地域資源の活用につなげたいと考えています。
明日香村には、歴史的な遺産だけでなく、美しい景観や豊かな自然が残っています。この地の魅力をより多くの人に知ってもらい、地域に貢献できるよう、今後も宿泊業・観光業・農業の三本柱で挑戦を続けていきます。
一棟貸し宿 弥栄 中島茂弥さんProfile
明日香村出身。県外で就職のち地元に戻り、築250年を超える古民家で一棟貸しの宿を経営。明日香村プロガイド1期生。
最終更新日:2025/03/14