奈良県観光局では地域の課題解決と持続可能な発展をめざし、「奈良の観光地域づくり」について取り組んでいます。奈良県庁の思いや、地域のキーパーソンのインタビューを掲載していきます。
※本記事は月刊奈良2025年3月号で掲載した記事と同じ内容です。
奈良パークホテルは、昭和45年創業の温泉旅館で、これまで団体や個人客を中心に受け入れてきました。現在は昭和レトロな雰囲気を活かし、家族連れや若い世代の利用も増えています。夏季にはプールサイドでのバーベキューやお祭り広場の開催など、宿泊以外の楽しみも提供し、県外の人のみならず、地元の人々にも親しまれてきました。
しかし、老朽化が進む中での維持管理は課題です。修繕費用の増加に伴い、収益性を確保しつつ、施設の魅力を高める必要があります。修学旅行や団体向けの昼食提供、温泉の日帰り利用など、多様なニーズに応じたサービス展開を行い、ホテル単体ではなく地域全体の魅力を高める方針です。また、近年のインバウンド需要を見据え、外国人旅行者の受け入れ対応も進めています。
さらに、奈良の歴史や文化を活かした体験型観光の提供を模索しています。当館では以前から古代食の宮廷料理「天平の宴」の提供をしているのですが、近年、それを目的にされる方やイベントなどでの活用が増えています。「天平の宴」は当館独自の取り組みなので、今後ももっと広げていきたいですね。
今後新たな宿泊事業として、斑鳩エリアでの宿泊施設開発を進めています。このプロジェクトでは、10棟の古民家風宿泊施設を整備し、長期滞在型のインバウンド客もターゲットとする予定です。各棟は2階建ての独立した建物で、キッチン付きの仕様となっており、グループや家族単位での滞在に適した設計になっています。最大10名まで宿泊可能な部屋もあり、観光客だけでなく、ワーケーションや文化体験を目的とした滞在にも対応できるよう計画されています。当初はホテル型の宿泊施設を計画していましたが、より地域の魅力を活かした形として古民家風の宿泊施設へと方針転換し、滞在そのものを体験価値とする形での運営を目指しています。この斑鳩の宿は2026年3月末の開業を目標としています。地元住民とも連携しながら地域の活性化を図る場にもしていきたいと考えています。
奈良パークホテル 支配人 山岡浩さんProfile
奈良市出身。旅行会社、ホテル勤務、ホテルコンサルタント、飲食店経営を経て、2022年から奈良パークホテル支配人。
最終更新日:2025/03/14