奈良県観光局では地域の課題解決と持続可能な発展をめざし、「奈良の観光地域づくり」について取り組んでいます。奈良県庁の思いや、地域のキーパーソンのインタビューを掲載していきます。
※本記事は月刊奈良2025年3月号で掲載した記事と同じ内容です。
十津川村で「トウタリング」というカレー屋を営んでいます。2010年頃、奈良市の椿井町でカレー店を営んでいました。私自身は東京出身で映画やドラマの撮影現場で食事を提供する仕事をしており、奈良市から東京に戻り、店と撮影現場での仕事を続けてきましたが、体調を崩してしまいました。さらに、コロナ禍が訪れた時に、妻が十津川村の保育士の募集を見つけました。彼女は元々保育士だったこともあり、地元に帰れば妻にとっては故郷への恩返しにもなる。ならば、いっそ移住しようと決めたのです。
ただ、全くのゼロから村で商売を始めたわけではありません。実は10年以上前から、十津川村のほぼ毎年盆踊りでカレーを出していました。地元の人たちには「カレーの人」として覚えてもらっていたし、すでに味も知ってもらえていた。だから、お店を開くにあたっても、まったく知らない土地で一から始めるよりは、ずっとやりやすかったんです。
現在は週に2回、村内の異なる場所でカレーを販売しています。店の開業には県の移住、起業の補助金も活用しました。村での営業の課題はいろいろあります。特に食材の仕入れが大変です。買い出しには片道1時間以上かかりますし、大量発注すれば届けてくれるような業者もない。都会では当たり前の仕組みが、ここでは通用しません。仕入れも大変ですが、地元の人たちに喜んでもらえているのは嬉しいです。今は地元の常連さんも増えて、本当に楽しみにしてもらえている実感があります。
今後は、冷凍カレーの販売を本格的に始めたいと考えています。パッケージングや販売方法をどうするかが課題です。なるべく早く形にしたいですね。また、たまに奈良市のイベントにも出店していますが、これも続けていきたいです。十津川村に来られなくても、カレーを食べられる機会を増やしたいですし、村に興味を持つきっかけになればいいなと。商売は無理せず、自分のペースで続けていきたいですね。
トウタリング 店主 小水とうたさんProfile
東京生まれ。撮影現場のケイタリング、奈良市、東京板橋区で店舗を構えてきたが、2023年に妻の地元である十津川村に移住。現在は十津川村で週2日カレー店を展開している。
最終更新日:2025/03/14