奈良、旅もくらしも

奈良の観光づくりキーパーソンINTERVIW 一般社団法人飛鳥観光通訳ガイド協会・合同会社フライングバード 鳥居正典さん 豊岡史朗さん


 弊社を立ち上げたきっかけは、平成27年に橿原市のビジネスプランコンテストで「飛鳥・藤原地域限定通訳案内士養成およびインバウンド活性化事業」が最優秀賞を受賞したことです。当時、奈良は外国人観光客が増えると予想される一方で、歴史的に重要な地域である飛鳥は、視覚的に伝わりにくく、ストーリーを語るガイドの必要性を感じました。しかし、全国通訳案内士の資格は取得が難しく、奈良では仕事の需要が少なかったため、経済産業省の特区制度を活用し、独自の研修を経た認定ガイドを育成する仕組みを作りました。こうして通訳ガイド協会を設立し、観光客の受け入れ体制を整えました。

 コロナ禍で観光業が停滞した際には、新たな体験プログラムの開発に注力しました。奈良ならではの文化や歴史を深く体験できるツアーを提供し、「日本の宝物グランプリ」では令和6年2月にグランプリを獲得しました。これを機に、奈良県内だけでなく大阪や東京の旅行会社とも連携を強化し、通訳ガイド協会だけでは事業の幅が狭いため、令和5年に新たに「フライングバード」という会社を設立し、事業を拡大しました。

 ツアーは単なる観光ではなく、地域の課題解決にもつなげています。例えば、五條の古寺を訪れるツアーでは、地域住民が守ってきた仏像を特別公開し、ツアー料金の一部をその維持のために還元する仕組みを作りました。地域活性化に貢献できるガイドを育成するため、研修制度も充実させています。

 英語教育の場としての奈良の可能性も追求しています。私たちのもともとの夢は〝奈良を日本で一番英語が通じる地域にする〞こと。そのため、地元の子どもたちが外国人観光客に自然に声をかけられる環境づくりを目指しています。観光だけでなく、地元の人との交流を求める訪日客は多いので、そうした体験ができる場を増やしたいですね。

 飛鳥時代、日本は外来文化を受け入れつつ独自の文化を築きました。その寛容性や多様性こそが日本の本質であり、それを伝えることが私たちの使命です。今後もツアーを通じて、地域の歴史や文化を継承しながら、奈良の価値を国内外に発信していきたいと考えています。


一般社団法人飛鳥観光通訳ガイド協会・合同会社フライングバード 鳥居正典さん 豊岡史朗さんProfile

弊社は奈良県橿原市に拠点を置き、観光、教育、コンファレンス事業を通じて地域活性化や雇用促進を目指しています。

最終更新日:2025/03/14

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