広陵町にタルトの専門店があるとのことで、気になって訪れてみました。お店の名前は「おはようこんにちはこんばんはたると」。2021年12月にオープンしたこちらのお店は、車通りが多い道路沿いにあるテイクアウト専門店。ロゴマークや木の扉、窓枠がなんとも可愛らしいのですが、グレーの壁で落ち着いた雰囲気も感じられる外観です。

　店内に入ると、ウィリアムモリス（イギリスの芸術家）デザインのボタニカル柄の壁紙や丸みを帯びたフォントの文字が目に飛び込みます。天井やテーブルは木を使われていたり、吊り下げ照明が並んでいたりとシックな印象も感じられ、インテリアコーディネーターでもある店主の巽由紀さんのこだわりが随所に感じられます。しかし何といっても一番のこだわりはタルトの生地に北海道産石臼挽き全粒粉を使っていること。全粒粉は普通の小麦粉と比べてビタミンやミネラルを多く含みます。小麦粉よりも栄養価が高く、血糖値があがりにくいという特徴があります。だから安心して朝も昼も夜も食べてほしい。店名にはそんな想いが込められています。また、石臼で挽くことで全粒粉の風味がより豊かになります。

　よく見ると床に「Okaeri（おかえり）」の文字が。この日もリピーターらしきママさんや学生がひとり、またひとりとタルトを買いに訪れていました。

　ショーケースには、季節のフルーツを使ったタルトや定番のタルトが並びます。ホールの場合は予約もでき、生クリームや甘いお菓子が得意でない子どもの誕生日ケーキとして買いに来る方もいるそう。

　しっとりとした生地を噛むと香り高い大和茶が鼻を抜け、控えめで上品な味わい。中に入っているホワイトチョコが優しい甘さで大和茶の繊細な風味を包み込みます。

　こちらは元々節分の時期に期間限定で販売し人気だったため定番化したもの。4種類の国産炒り豆を生地の上いっぱいに敷き詰め、塩こうじで甘じょっぱく絡められているのがたまらない美味しさ。濃いのに炒り豆の香ばしさが消えていないのが不思議です。

　どちらのタルトも、土台の生地と上の素材のハーモニーが素晴らしく、一緒に口に入れたいもの。心地よく調和した味と風味が楽しめます。

　地元の人々に愛される温かいお店作りを今後もしていきたいと語る巽さん。丁寧にじっくり焼き上げられたタルト。手土産に、自分用に。特別な日にも、何でもない日にも。タルトを食べて心ほどけるひと時を過ごしてみてはいかがでしょうか。

（文・写真／才治朋子）

最終更新日：2023/02/17

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