minet rois フロランタン/ガレットブルトンヌ
HAKUGINHI 線彫り繋ぎ花文の5寸皿
仕事に学校、家事…毎日やることいっぱいで忙しいですよね。あわただしい日々を過ごしていると、ついつい自分のことをおろそかにしがち。たまには、おいしいお菓子で自分を甘やかしてみませんか。この連載では、奈良で手に入る素敵なおやつと器をご紹介します。お気に入りのおやつセットを用意して、ちょっと一息つきましょう。
私は、服にしてもインテリアにしても柄の少ないものが好きだ。合わせやすいし、新しいものを買い足すときにいちいち悩まなくてすむ。食器に関しても同様で、意識していてもついつい無地のものを選んでしまう。その日も、無地の器を手に取って眺めていたが「いや、今日こそは」と思い直して、いつもと違うデザインにチャレンジしてみることに。この回では、ちょっと意外な組み合わせをご紹介。
今回のお菓子は、王寺町にある洋菓子屋さん「minet rois(ミネロワ)」の「フロランタン」と「発酵バターのガレットブルトンヌ」。お菓子だけでなく、店の内装やパッケージも魅力的。ショートケーキやタルトも美味しくて、ぎりぎりまでどのお菓子にするか迷ってしまったが、ここは王道の焼き菓子をセレクトした。生地の上にクルミとキャラメルでコーティングされたアーモンドスライスが絶妙なバランスで重なったフロランタンは、コーヒーにぴったり。かりっとしたキャラメルが熱いコーヒーにとけて、思わず顔がほころぶ。しっかり焼きこまれた分厚いガレットブルトンヌには、香りとコクの強い発酵バターが使われている。小麦本来の甘みやバターの香りが引き立たせるため、精製塩よりもうまみとまろやかさがあるフランス産の岩塩で、ほんのり塩味が利かせてある。ちょっと塩気のあるお菓子は、ミルクをたっぷりいれたカフェラテやミルクティーにも合うのだとか。温かい飲み物とバターたっぷりのお菓子でお腹も心も満たされる。現在はクラシカルな伝統菓子を中心としているが、今後はもう少し攻めたものも作っていきたいそう。どんなお菓子にお目にかかれるか楽しみだ。
あえて洋菓子っぽくない器でいただいてみたい、と選んだ器は、沖縄で作られる焼物「やちむん」。沖縄の食器を取り扱うお店「HAKUGINHI」で見つけた。台の上に数種類並べて悩んだが、一番印象に残ったこのお皿にした。沖縄伝統工芸士・玉城望さん、若子さんご夫婦が製作するやちむんには伝統技法である「線彫り」が施されている。名前の通り、彫刻刀で彫ったような模様が入っているのが特徴。花が連なったような模様を「繋ぎ花文」というが、この線彫りと繋ぎ花文を組み合わせた器はなかなかないのだそう。豪快に入った彫りの周囲を柔らかい色が取り囲む、絶妙なバランスに惹かれる。タイやベトナム、中国など、あれこれ入り混じった「チャンプルー文化」独特の雰囲気と洋菓子の組み合わせはちょっとした冒険だったが、思った以上にしっくりきた。伝統をそのままの形で守っていくことももちろん重要だけれど、現代文化に定着させるためには新しい要素を取り入れたり、意外なものと組み合わせたりすることも大切だと語る店主の北川雅則さん。自分なりの新しい使い方を見つけて日常生活とチャンプルーしていこう。
昔ながらの焼き菓子は、見た目は決して派手とは言えないものが多い。だからこそ作り手の工夫や細かいところへのこだわりが垣間見えて楽しい。今回はそれに加えて、ユニークなデザインの器と合わせてみる、という楽しみも見つけた。食べ物に飾りやトッピングがない分、思ってもみなかったお皿とマッチすることがある。失敗を恐れて、いつも似たような食器ばかりを買っていないだろうか。「これは洋菓子向けではないな」と決めつけていないだろうか。固定観念にとらわれず、いろいろな組み合わせに挑戦してみよう。新しい発見に心躍るはず。
(記事・撮影/岡田菜友子)
minet rois (ミネロワ)
住所:奈良県北葛城郡王寺町本町1-19-5
電話:無
営業時間:11 :00~17:00
定休日:月・火・水(不定休有)
駐車場:有
HAKUGINHI(ハクギンヒ)
住所:奈良県奈良市北袋町32 森ハイツ1階
電話:無
営業時間:13:00~18:30
定休日:不定休
駐車場:有
最終更新日:2022/02/13