焼き菓子屋 pieni blanc「発酵バターのカヌレ」
uwanosora factory「ベニェ リムプレート」
仕事に学校、家事…毎日やることいっぱいで忙しいですよね。あわただしい日々を過ごしていると、ついつい自分のことをおろそかにしがち。たまには、おいしいお菓子で自分を甘やかしてみませんか。この連載では、奈良で手に入る素敵なおやつと器をご紹介します。お気に入りのおやつセットを用意して、ちょっと一息つきましょう。
今回のおやつは「カヌレ」。「溝の付いた」という意味を持つフランスのお菓子だ。その見た目のかわいらしさから、若い女性や女子高生の間でも人気があり、SNSで「#カヌレ」と検索すると結構な数が出てくる。おしゃれな女の子が食べるおしゃれなお菓子。やはり流行には乗らねば、とさっそく奈良でカヌレがおいしいお店を探してみた。
今回訪れたのは、高畑町にある洋菓子店「ピエニブラン」。メインは、クッキーやフィナンシェなどの焼き菓子。原材料にこだわり、奈良県産のフルーツや野菜などを使用。はちみつは田原本町の養蜂場から直接取り寄せている。どのお菓子も美味しいが、中でもカヌレは人気商品。カヌレに適したフランス産の小麦粉と北海道産の発酵バターを使用しており、焦げ目が付く直前までじっくり焼き上げる。普通のカヌレよりも色が濃いのはそのためで、表面はかじるとガリっと音がするほどの歯ごたえ。また、ツヤだし用の蜜ろうは癖があるため使用しない。子どもでも食べやすく、バターの香りを純粋に楽しめるのも特徴だ。当初は毎日販売していたがお菓子の種類が増えるにつれ、金土日祝限定の販売に。週末でなければ買えないといわれるとなんだか特別感がある。焼き上がりは変動もあるが、大体12時半から1時ごろ。運が良ければオーブンから取り出したばかりのアツアツカヌレが食べられる。１週間頑張った自分へのご褒美にいかがだろうか。
（右）店主の谷本さんのおすすめ、和三盆のクッキー
このかわいらしいお菓子に合わせる器を探してやってきたのは、王寺町にある雑貨店「uwanosora factory」。白い壁の店内に、カラフルなキャンドルやキラキラのフェアリーライト。その名の通り、夢の中にいるような気分になるお店。数ある中から選んだのは、白い清楚なお皿…ではなかった。無駄のないデザインとマットな質感が男前なこの器は、茨城県の伝統工芸品、笠間焼。一点一点職人の手で作られる器のブランド「Rikizo」が展開する商品だ。店主の加藤仁美さんは、このペタンとした形と独特の色合いに惹かれたそう。「黒」と一口には言い切れない表情のある色で、じんわりと墨を溶かしたよう。奥行きのあるこの表現は、機械ではなしえない業だろう。もともと、可憐な女の子のイメージに合うような白いお皿にしようと思っていたのだが、あのこんがり焼けたカヌレが溶け込むような色を見て「こっちのほうが合うのでは？」と急遽路線変更した。実際のせてみると、カヌレの表面の艶と側面のグラデーションが映え、キュートな雰囲気から一転した。
そもそもどうしてカヌレを白いお皿に置こうと思ったのだろう、と振り返ってみて思い出した。最近流行りのカヌレとコーヒーを出すカフェに、つい影響を受けてしまったようだ。
SNSを参考にするのもいいけれど、そればかりをおしゃれなものと決めつけていては、新しい発見ができなくなってしまう。流行りや「みんながおしゃれと思っているかどうか」も大切かもしれないが、作り手の想いをくみ取って、お菓子も器も素敵に見える方法を自分で探す楽しみも忘れてはならないと思いなおした回だった。
（記事・撮影／岡田菜友子)
焼き菓子屋pieni blanc（ピエニブラン）
住所：奈良県奈良市高畑町1024
電話：0742-93-4471
営業時間：11:00～17:00
定休日：不定休（インスタグラムをご覧ください）
駐車場：無
https://www.instagram.com/pieni_blanc/
uwanosora factory （ウワノソラファクトリー）
住所：奈良県北葛城郡王寺町本町4丁目27-3
電話：0745-60-8053
営業時間：11:00～17:00
定休日：不定休 （インスタグラムをご覧ください）
駐車場：有
https://www.instagram.com/uwanosorafactory/
最終更新日：2022/03/14
