奈良、旅もくらしも

連載:奈良さんぽ

【連載】奈良さんぽ「第11回 帽子の中のはっぱ」もりきあや

秋に明るく咲く花、庭先のシュウメイギクが可憐だ。実家からひと株分けてもらい、2年前にキンカンの木の下に植えたのが、今年は元気に増え一目30ほどの蕾を付けている。一層冷え込んだ朝の光を受けて、花弁の白が一層輝く。深まる秋の […]

2022.10.21

【連載】奈良さんぽ「第10回 夏の日のある朝、ある夜」もりきあや

2022年、感染症に睨まれながらの、3度目の夏休み。それでも、やっぱりうれしそうな子どもたち。私も一緒にいられる時間が増えるのは、気忙しくもうれしい。予期せぬ不穏な出来事に心が落ち着かないこともあったけれど、だからこそ今 […]

2022.08.17

【連載】奈良さんぽ「第9回 風薫る明日香にて」もりきあや

雨上がり、ある月曜日の朝。息子(小2)の登校時、途中まで送っていくのが日課である。往復20分ほどの散歩道。4月から近所の1年生男子が3人加わって、今日も元気いっぱいに一日が始まる。一人が突然その場でぐるぐる回り始めてなか […]

2022.05.21

【連載】奈良さんぽ「第8回 どんづる峯が好き」もりきあや

我が家には、石ころ愛好家(?)の中1女子がいる。物心がついた頃から石が好きで、最初は鉱物図鑑やら石ころ博士の本やらを渡してみたら、夢中になって読んでいた。あらためて「なんで石が好きなん?」と聞いてみると、「石にも全部名前 […]

2022.03.01

【連載】奈良さんぽ「第7回 記憶の秒針」もりきあや

お日様が沈んでいくと、西の稜線と朱雀門近くの白い穂、東の若草山までが緋色に染まってた。陽が途切れて紺色になったあたりには、もう星が出ていて。空いっぱいの、昼と夜のグラデーション。 ある休日、奈良市街に向かう車内で娘が言っ […]

2021.12.08

【連載】奈良さんぽ「第6回彼岸花のころに」もりきあや

平日の朝は、小学生の息子をバス停に送って行くのが私の日課だ。少々準備が遅くなった火曜日、私たちは自転車で向かっていた。その日は、ハッとするほど日差しがやわらかく感じた。頬を撫でる風の温度も涼やかで心地よい。露ができている […]

2021.10.22

【連載】奈良さんぽ「第5回忘れたくないこと」もりきあや

2021年の夏休みも、ほとんどの時間を家の中で過ごすことになった。中1の娘はなんだかんだと毎日のように部活動があったのだけれど、小1の息子はずいぶんとインドアな生活が染み付いた。 週末、母が「あなたが小さい頃に家族で行っ […]

2021.09.06

【連載】奈良さんぽ「第4回思い出を歩く、里山さんぽ」もりきあや

近頃、「会いたい人に会っておかないと」という気持ちが強い。人に会う機会がめっきり減ったせいだろうか。マスクをしていても、少し離れていてもいいから、会って話がしたい。最初に連絡をしたのが、土居朋子さんだった。五條市小和町に […]

2021.07.08

【連載】奈良さんぽ「第3回風景の向こう側」もりきあや

 いつものお地蔵さんの前に、梅の実が6つ、並んでいる。さわやかな緑と黄と赤が、一つひとつ違うグラデーションをまとって。昨日吹いていた強めの薫風が、塀の向こうの木を揺らしたのだろう。ここを通学路にしている小学生たちが、小さ […]

2021.06.08

【連載】奈良さんぽ「第2回あの日の散歩道」もりきあや

 2人の子どもたちが、小学校、中学校と新しい環境に飛び込んでいく中、私たち家族は、数ヶ月実家で暮らすことになった。しょっちゅう遊びに来ていて、家だって近いのだけれど、暮らすとなるとまた違う感覚だ。IHの調理器に慣れた生活 […]

2021.05.01

【連載】奈良さんぽ「第1回今日はおさんぽ日和」もりきあや

奈良盆地を囲む青垣が微笑みだした。いつもより早く咲いた桜が、渡る風に揺れる平城宮跡。大極殿の鴟尾が日に反射してキラキラしている。空が、広い。なぜだろう。いつもの景色なのに、ふと胸に迫るものがある。 奈良に暮らして40数年 […]

2021.04.01

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